宮内庁所蔵の鏡と一致…「本山コレクション」破片


 三次元計測データをもとに作成したCG。右下が本山コレクションの破片=奈良県立橿原考古学研究所提供
宮内庁所蔵の鏡と一致…「本山コレクション」破片
 考古資料「本山コレクション」の鏡の破片が、明治末年に大阪府藤井寺市の津堂城山(つどうしろやま)古墳で出土した宮内庁所蔵の斜縁(しゃえん)二神四獣鏡の一部と分かった。別々に保管され泣き別れになっていた鏡が、徳田誠志(まさし)・宮内庁書陵部首席研究官(日本考古学)らの三次元デジタル形状計測によって約100年ぶりにパソコンの画面上で合体した。

 ◇100年ぶり、CGで合体

 鏡の破片は目録に「漢鏡破片 3個 河内国南河内郡津堂村小山古墳」と記され、4世紀末の巨大前方後円墳である津堂城山古墳の出土とみられる。

 この古墳では1912(明治45)年、地元の人たちが後円部頂から石材を掘り出したときに石棺が現れ、急きょ発掘調査が行われた。

 当時の宮内省は後円部頂を皇族の墓の可能性がある「陵墓参考地」に追加指定し、副葬品を買い上げた。

 宮内庁所蔵となっている鏡片は8枚分。欠けた部分を樹脂で補ったものもあり、現物を持ち寄っても合わせられないため、奈良県立橿原考古学研究所の奥山誠義・主任研究員(保存科学)が本山コレクションの破片を0.01~0.03ミリの精度の装置で三次元形状計測した。

 計測データをもとにコンピューターグラフィックス(CG)を作成し、既に計測を終えてデータベース化されている宮内庁の鏡と重ね合わせたところ、2枚の鏡の欠けている部分と、破片の形が平面、断面とも一致した。

 11、12日、筑波大学で開かれる日本文化財科学会で発表される。【佐々木泰造】

 ◇本山コレクション◇

 毎日新聞社社長だった本山彦一(1853~1932年)が収集した考古資料1万8945点。自ら調査隊を組織して1917(大正6)~19年に大阪府藤井寺市の国府(こう)遺跡を調査した時の出土品などを含み、日本の考古学史を物語る資料と評価されている。今春、国の登録有形文化財になることが決まった。


[ 2011年6月11日 (毎日新聞)



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2011年06月18日 Posted byかるの at 21:16 │Comments(0)考古学(埋蔵文化財)

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