古墳石室の天井石「最後の一枚」民家の庭石に

かるの

2010年03月19日 21:16


 民家の庭石になっていた、石室の天井石

  百舌鳥 ( もず ) ・古市古墳群に築かれた最初の大王墓とされる、大阪府藤井寺市の津堂城山古墳(4世紀後半)にある竪穴式石室の天井石とみられる石材が、古墳近くの民家の庭石になっていたのを、市教委が発見した。

 天井石は計7枚あり、所在不明だった「最後の1枚」とみられる。譲り受けた市教委が同古墳のガイダンス棟で保管、将来的に展示する予定だ。

 石材は幅1メートル、長さ2・3メートル、厚さ25センチ。兵庫県高砂市で採れる「竜山石」で、大王墓の石室や石棺に使われ、発見場所、形状などから天井石と判断した。

 同古墳は1912年、後円部の頂上で 長持 ( ながもち ) 形石棺を納めた、竪穴式石室が見つかった。その後、宮内庁が頂上部を陵墓参考地に指定したため、石室の天井石の現状確認ができない。

 石室発見当時の記録や写真から、7枚の天井石のうち2枚が現地に埋まっているとみられる。残り5枚は発見時に外部に持ち出された可能性があり、これまでに古墳付近で、
〈1〉津堂八幡神社の石碑
〈2〉葛井寺の忠魂碑
〈3〉小山善光寺の敷石
〈4〉専念寺の庭石―
―に転用されているのが確認されている。

 白石太一郎・府立近つ飛鳥博物館長(考古学)は
 「津堂城山古墳は、古市古墳群のうち、埋葬施設がわかっている唯一の大王墓級の古墳で、天井石の所在確認は歓迎すべきことだ。可能なら古墳外にあるすべての天井石をガイダンス棟など現地に戻し、活用策を考えてほしい」
と話している。


[ 2010年3月5日 (読売新聞)

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