纒向遺跡:食用になる動植物の骨や種子など発見 奈良
纒向遺跡の土坑から出土した動植物の骨や種。手前の棒状のものは鹿の後ろ足の骨=奈良県桜井市で2011年1月21日午後0時7分、高島博之撮影
邪馬台国の最有力候補地とされる纒向(まきむく)遺跡(奈良県桜井市)で、卑弥呼(ひみこ)(248年ごろ没)と同時代の3世紀中ごろに掘られた穴「土坑(どこう)」から、タイやイノシシ、米など食用になる約40種類の動植物の骨や種子などが見つかった。21日発表した市教委によると、種類の多さで全国的に例がない。大規模な国家祭祀(さいし)の供物として、海沿いを含めた各地から献上されたとみられ、纒向の王の勢力範囲の広さを示す発見となった。
市教委によると、09年11月に確認された大型建物跡の南約5メートルにある楕円(だえん)形の土坑(南北4.3メートル、東西2.2メートル、深さ80センチ)の土を分析して分かった。土坑からは昨年9月、モモの種2000個が見つかっている。
新たに見つかった骨はイノシシ、鹿、カモのほか、タイやサバなど海の魚が淡水魚より多かった。種はモモのほか、ウリ、米、アサなど。いずれも煮炊きした跡はなく、供物にした後食べずに埋めたとみられる。モモの花粉も見つかり、大量の種が見つかったモモは近くに畑があったことも分かった。
現地説明会はなく、同市芝の市埋蔵文化財センターで22日~2月27日に出土品を展示する。【高島博之】
[ 2011年1月21日 (毎日新聞)
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