市指定史跡・篠原城跡から戦国時代の遺構、宅地造成で発掘/横浜
曲輪跡など戦国時代の遺構が発掘された篠原城跡=港北区
横浜市指定の史跡・篠原城跡(同市港北区篠原町)から、曲輪(くるわ)や空堀など戦国時代の遺構が見つかった。ことし1月、宅地造成に伴う調査がきっかけで、発掘された。国学院大学の伊藤慎二助教は
「当時の生活の様子が生々しく分かる。南関東全域でこれだけはっきり残っているのは珍しい」
と話している。
戦国時代に横浜市域を支配した後北条氏が、その支配の中心とした小机城(同区小机町)。その東方を守っていたのが、篠原城とされている。今回発掘された丘陵地には、もともと篠原城跡があると伝えられていた。横浜市の文化財として登録されていたが、木や竹が生い茂り、城跡としての明確な遺構など決定的な証拠は見つかっていなかった。
今回の調査は、2009年に計画された宅地造成に伴って実施。防御のために一定区画を分け、段状に配置された曲輪や、敵の侵入を防ぐ空堀が3~4重に構えられた跡が見つかったことから、篠原城があったのが確実視されるという。ほかにも、武家社会での宴会儀式に使われた「カワラケ」という土器も出土。人々の生活の様子などが明らかになった。
住宅開発業者に引き渡される前に、調査を行った発掘調査会社の博通(鎌倉市)が1月29日に、地域住民の要望を受けて見学会を実施。1時間半の公開にもかかわらず、子どもたちら約560人が貴重な遺構を直接見ようと訪れた。「すごいもんが出てきたなあ」「立派なお堀」と、感嘆の声が漏れていた。
中世の城郭を研究している伊藤助教は
「横浜市の歴史を知る上でも重要な発見。当時の庶民がどんなものを使って生活していたか、よく分かる」
と話している。
2011年2月1日カナロコ
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