西郷隆盛直筆の手紙発見…人柄にじみ出る

かるの

2012年08月09日 14:15


鹿児島市維新ふるさと館で公開された西郷直筆の手紙(24日、鹿児島市で)=丸山一樹撮影

 鹿児島市は24日、西郷隆盛が知人を村の要職に推薦した直筆の手紙が新たに見つかったと発表した。

 市は「知人が西郷のコネを頼った内容で、頼まれると断れなかった西郷の人柄がにじみ出ている」と説明。市維新ふるさと館で公開されている。

 発表などによると、明治維新後、西郷がいったん帰郷し、藩政を取り仕切る鹿児島藩大参事などを務めていた明治2~3年(1869~70年)頃の手紙。阿多村(現・鹿児島県南さつま市)の有力郷士宛てで、保管していた子孫の関係者が市に寄贈した。

 手紙では、知人の川野藤左衛門を、商人らが住む地域を取りまとめる「部当(べっとう)」という職に推薦。川野から懇願されたことや、阿多村を管理する地頭にも頼んだことに触れた上で、「強いてお願い申し上げるべき筋ではありませんが」という趣旨の丁寧な言葉遣いで頼んでいる。

 西郷の直筆の手紙は多数残されているが、国政などにかかわるものが多いとされる。原口泉・志学館大教授(65)(日本近代史)は「明治維新の立役者である西郷が、地方の一役人の人事にまで心を配っていたことが伝わる興味深い資料だ」としている。



(読売新聞 - 07月24日 19:52)

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