一乗谷朝倉氏遺跡の物見台が完成 福井、館跡や復原町並一望

かるの

2012年08月17日 14:17


 福井県が福井市の一乗谷朝倉氏遺跡に整備を進めていた物見台が完成した。戦国武将朝倉義景の母、光徳院の屋敷跡である高台の「中の御殿」東に隣接。朝倉館跡や復原町並など、遺跡中央部を中心に壮大なパノラマが広がり、戦国城下町の景色が一望できる。

 中の御殿跡東側を巡る高さ約8メートルの土塁跡を利用。約400万円をかけ整備を進めていた。

 土塁跡に盛り土をして頂上を平らに整備。平地部からの高さが約25メートル、幅約30~36メートル、奥行き2・5~3メートル。頂上に芝生を敷き詰め、周囲に植栽を施した。

 これまで高台から遺跡を見る場合、中の御殿跡などが利用されていたが、復原町並のほぼ側面しか見ることができなかった。物見台からは同町並が俯瞰(ふかん)できるようになり、遺構を基に忠実に再現された武家屋敷の配置がよく分かる。遺構を露出展示している朝倉館跡や南側の防御施設、上城戸も見渡せる。

 県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館の文化財調査員今出瑞穂さんは「物見台周辺は朝倉一族が住んでいた場所。当時の人たちが見ていた景色と同じ景色を楽しめるのでは」と話している。

 大阪府吹田市の梅本明美さん(71)は「以前来たときも落ち着いた雰囲気で素晴らしいと感じていたが、遺跡全体が見渡せるようになりすごくいい。きれいに整備されているのがよく分かります」と笑顔を見せていた。

 28日午前10時から、物見台で同資料館の文化財調査員によるフィールドトークがある。城下町の構成などを解説する。問い合わせは県文化振興課=☎0776(20)0580。


((2012年7月26日福井新聞))

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