戸山原古墳1号墳 住民要望実り修復
修復された石室内部。ジャッキを使って石を持ち上げ、積み直した=川崎町安真木
■福岡沖地震で大破、川崎の指定文化財
2005年3月の福岡沖地震で大破した川崎町の指定文化財の円墳「戸山原(と・やん・ばる)古墳1号墳」の修復が終わった。当初は町の財政難で修復のめどがたたなかったが、地元住民の要望を受けて09年秋に修復を始め、3月下旬に完成していた。
町教委によると、古墳は1963年に発見。直径15メートル、高さ4・7メートルの円墳で、墳丘の中には長さ2・6メートル、幅2・4メートル、高さ2・2メートルの横穴式石室がある。残された遺物は少なかったが、周辺から須恵器や馬具などが出土した。7世紀前半に造られたとみられ、周辺一帯を支配した豪族の墓と考えられるが、人物特定には至っていない。
地震直後の調査では、石室の壁石などが多数崩落し、修復のめどが立つまで防水シートで覆っていた。
町が修復を決めた後の09年、佐賀大学文化教育学部の重藤輝行講師(考古学)ら8人で修復検討委員会を組織して技術的検討を進めた。昨年11月、事業費約2400万円をかけて修復を始め、倒壊した石室を積み直したほか、墳丘には芝生やツツジを植えた。そばには古墳の由来を記した看板を設置し、駐車場も整備した。
27日にあった完工式で手嶋秀昭町長は
「町の貴重な財産と思い、修復することを考えた。古い文化を大切にして、新しい町の魅力にしたい」
と話した。
2010年04月28日asahi.com
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