<古墳>航空レーザーで高精度測量図

かるの

2010年07月11日 21:17


 高精度な御廟山古墳(堺市)の測量図=奈良県立橿原考古学研究所、アジア航測提供

 奈良県立橿原考古学研究所(橿原市)と測量会社「アジア航測」(東京都)は、航空レーザー計測で、前方後円墳2基の高精度の三次元測量図を作製した。西藤清秀・同研究所部長らが26日、関西大であった日本文化財科学会で発表した。宮内庁が天皇や皇族の墓として立ち入り制限している陵墓や陵墓参考地の地形情報が得られ、古墳研究に役立つとしている。

 2基は、御廟山(ごびょうやま)古墳(堺市、全長200メートル)と、コナベ古墳(奈良市、同204メートル)でいずれも陵墓の可能性がある陵墓参考地。

 航空レーザー計測は、上空からレーザー光を照射し、地表で反射して戻る時間から高低差などのデータを得る。地震による崩落現場の状況把握などに使われていたが、初めて古墳の計測に使われた。

 古墳の上空500~650メートルで、ヘリコプターからレーザー光を1秒間に12万~18万発照射。樹木に覆われていても、葉のすきまから地表面に到達したレーザー光を識別し、正確な情報が得られた。

 古墳の全長が上位50基のうち27基が、宮内庁管理の陵墓や陵墓参考地。測量図の大半は昭和初期の精度の低いもので、古墳研究の上で問題になっていた。

 西藤部長は
 「森林にある遺跡や山城の計測など、活用方法が考えられる」
と話している。【高島博之】


[ 2010年6月26日 (毎日新聞)

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