ストーンヘンジ石材、未知の産地が判明
イギリスの巨石遺跡ストーンヘンジの中心で円を描く火山岩「ブルーストーン」。その一部が、約260キロ離れたウェールズにある露頭の岩と一致したという。この発見により、遺跡の巨大な構成要素がソールズベリー平原に到着した過程が2つに絞られる。すべて人力で運ばれたか、途中まで氷河によって動かされたかだ。
5000年前に作られたストーンヘンジは20~30トンの砂岩が並ぶ外側の円、3~5トンのブルーストーンで構成される内側の円と馬蹄形の構造物から成る。
外側の大きな「サルセン石」は32~48キロほど離れた現在のイングランドで切り出された可能性が高い。イングランドでは砂岩は一般的な石材だ。
一方、ブルーストーンに関しては、顕微鏡レベルで類似性の高い岩はストーンヘンジ周辺から見つかっていなかった。
◆ストーンヘンジの起源は牧場付近
イギリス、レスター大学のロバート・アイクサー(Robert Ixer)氏とウェールズ国立博物館のリチャード・ベビンズ(Richard Bevins)氏は、約20年にわたってウェールズの露頭でブルーストーンの起源を探ってきた。しかしストーンヘンジと一致する岩は見つからず、2年前にはウェールズではないという結論に達しかけた。
ただし、20年前から採取してきたサンプルの一部は、顕微鏡での調査が終わっていなかった。アイクサー氏らは正確を期すため、残りの石を薄切りして、調べることにした。すると、最初の石がストーンヘンジのブルーストーンとぴったり一致した。20年前にウェールズで採取したサンプルだった。この発見から2年間、アイクサー氏らはウェールズの他の露頭を調査した。「広範にサンプルを集めたが、近い石はそれ以上見つからなかった」とアイクサー氏は振り返る。
アイクサー氏らの分析で特定された露頭は「クレイグ・ロス・ア・フェリン(Craig Rhos-y-Felin)」と名付けられている。ヒツジを飼育している牧場からほど近い私有地にある。現地は茂みに覆われた岩山が連なり、その規模は2階建てバス4台ほどだ。
◆次は道具の跡
今回の発見により、どのようにしてウェールズの岩がソールズベリーに到着したかについて2つの説が浮上してくる。
まず、人間が現地から切り出し、木のいかだで引いたという説。もう1つは、巨大な氷河が削り取り、ストーンヘンジに向かって160キロほど動かし、最後だけ人間が引いたという説だ。
もし人間が切り出したのであれば、道具の跡などの証拠が見つかる可能性がある。道具の跡がなければ、氷河説が優勢になるだろう。「切り出した場所が特定できれば、人間が関わったかどうかが明らかになるだろう」とアイクサー氏は期待している。
ストーンヘンジのブルーストーンの起源に関する論文は、「Archaeology in Wales」誌で発表される予定である。
(2011年12月26日- ナショナルジオグラフィック)
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