イラン北西部の遺跡に仏教寺院の特徴

かるの

2008年11月09日 19:27

 仏教の西方伝播(でんぱ)について調査している龍谷大(京都市)のアフガニスタン学術研究プロジェクトは7日、イラン北西部の遺跡で、仏教寺院と共通する特徴を確認したと発表した。トルクメニスタンにある最も西の仏教遺跡の約1400キロ西に位置しており、仏教寺院と確認されれば、現在のイスラム圏での過去の仏教の広がりについて大幅な見直しを迫ることになる。

 トルコ国境に近いマラゲー近郊にある半地下式の石窟(せっくつ)、バルジュビ遺跡で、約9メートル四方の部屋の中央に太さ約4メートルの八角形の柱があり、うち2面にそれぞれ4個の龕(がん)(壁面のくぼみ)が残っていた。


 龕は最大のもので高さ67センチ、幅45センチ、奥行き29センチ。仏教寺院で仏像を安置したり、仏画を描いて礼拝した龕と形が似ており、参拝した信者が周りを巡るための柱があるという構造が中国のシルクロード沿いにある石窟寺院と共通していた。


 マラゲーは、モンゴル帝国のチンギス・ハンの孫、フラグが建てたイル・ハン国(1258~1353)の最初の首都。調査した山田明爾(めいじ)名誉教授(仏教学)は、古代のミスラ教の寺院が、モンゴル帝国で信奉されたチベット系仏教の寺院に改造されたのではないかとみている。【山成孝治】


 ▽イスラム学者でもある森本公誠・東大寺長老の話 仏教は西に広がった時期がある。イラン北西部には、紀元前のアショカ王や13世紀のモンゴル王朝の時代などに仏教施設があった可能性があるが、ゾロアスター教国家などが痕跡を徹底的に消している。考古学的な遺物が見つかってほしい。

(毎日新聞)

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