伝統の「宮染め」世界へ…東京コレクションに登場

かるの

2009年03月15日 21:16


 染料を生地に注ぎこむ宮染めの職人=宇都宮市の「中川染工場」で

 宇都宮市で江戸時代末期から続く染め物「宮染め」が、東京都内で23日から開かれるファッションショー「東京コレクション・ウィーク」で、ワンピースなどの洋服の生地に使われることになった。

 職人の高齢化が進み、後継者不足が課題となる中、関係者は「宮染めの魅力を広く発信し、特に若い人に興味を持ってもらいたい」と期待している。

 同ウィークは、日本のファッションを世界にアピールしようと、毎年パリ、ミラノなど世界のファッションショーの締めくくりの時期に東京で行われている。最近は、新進デザイナーの登竜門としても注目度が高い。

 宮染めを使うのは、都内で活動し、今回がウィーク初出場の女性デザイナー荒井沙羅さん。伝統を未来に残すという思いを込めて「時」をテーマに、家紋などに使われる角字と呼ばれる複雑な書体で「秒」や「今」などの字を染め付けた生地を使う。

 荒井さんは2007年秋、「これで洋服を作ってほしい」と顧客から宮染めの生地を渡され、肌触りの優しさと温かい風合いにひかれた。染色作業に興味を持ち、宇都宮市錦の「中川染工場」を訪ねた際、後継者不足で技の伝承が難しくなっていることを聞き、「ぜひ宮染めの洋服を作って発表したい」と考えるようになったという。ウィークへの参加が決まると、迷わず宮染めを使うことを決め、伝統にこだわって角字の宮染めを同工場に注文した。

 角字は画数が多く、入り組んでいる。同工場は、生地にしわが入って字の色がにじんでしまわないよう、生地に重しを載せて伸ばすなど工夫した。同工場の中川ふみ専務は、
 「技術を認められ、大きな舞台で披露されるのがうれしい」
と喜んでいる。

 宮染めは県伝統工芸品に指定されているが、現在、手がける業者は市内で3軒。県工業振興課では「新しい消費者ニーズに対応して注目を集め、もっと知られるようになってほしい」と話している。

[ 2009年3月6日 (読売新聞)

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