「今も昔も災害の連続」 大郷・震災解体家屋から古文書
角田さん方で見つかった古文書
東日本大震災で被災した宮城県大郷町大松沢の無職角田剛佶さん(75)方から、江戸時代後期-明治初期の古文書が多数見つかった。解体した家屋のふすまやびょうぶの内側に、角田さんの先祖が村の村長格の肝入(きもいり)を務めていた際の関連文書があった。角田さんは「当時の先祖たちの暮らしがしのばれる」と整理を進めている。
角田家の口伝や旧大松沢村史などによると、角田さんから数えて6代前の林左衛門、太五平親子は江戸後期から幕末にかけて肝入、明治には村扱などの役職に就いた。村内の年貢の割り当て、戸籍調査などを行った。
築73年の角田さん方は、東日本大震災でひびが入ったり、ゆがみが生じたりした。家屋の解体に当たり、ふすまやびょうぶの下張りに使われた大小400枚以上の古文書が出てきた。
文書には、「天保」「安政」「明治」といった年号の記載があった。「切支丹(きりしたん)改め」の証文や、借金をした村民の保証人になった際の借用書なども見つかった。
村は江戸後期、天候不順でたびたび災害や凶作に襲われている。村民の年貢や租税の延期を求める文書もあった。役所に出した文書の写しとみられ、角田さんは「今も昔も、災害に苦労する歴史の連続だ」と思いをはせる。
角田さんは現在、敷地内に新築した自宅で、文書の解読や調査を独自に行っている。角田さんは「地域の歴史の編さんに少しでも役に立ってくれれば」と話している。
2012年08月17日 河北新報
関連記事