モラル崩壊ここまで バチ当たり!道祖神の盗難や破壊が多発

 最近、道祖神の盗難や破壊が相次いでいるという。道祖神といえば、そそり立つ男根女性器をかたどったものがまず思い浮かぶが、いったい誰が何の目的で盗みや破壊を繰り返しているのか。ひょっとして、何かのコンプレックスの裏返しか?!

 「まったく罰当たりなヤカラがいるもんです」
 こう嘆息するのは、群馬県の北西部、中之条町の四万温泉郷で喫茶店を経営する関英明さん(46)。のどかな田舎町の同町には、たくさんの道祖神が立っているが、
 「ここ数年、それらが相次いで盗まれているんです」
と関さんは言う。

 道祖神は石で作られた「路傍の神」。集落の境界や村の中心、道の辻などに設置され、古くから子孫繁栄や交通安全の神として地元住民の信仰の対象とされてきた。その形状はさまざまだが、男性器や女性器をかたどったものが有名だ。男性器の道祖神は「石棒」「男根石」と呼ばれ、男女対になった「陰陽石」という道祖神もある。

 これら道祖神は、石に彫られた仏像や地蔵などと合わせて石仏と総称されるが、同町にはこうした石仏が点在。一部愛好家の間で人気がある。文化財としての価値も見直され始めており、その“価値”に目をつけた不心得者が盗みを働いているようなのだ。

 「人通りの少ない道路脇にあるため、誰にも気づかれずに車で持ち帰り、古美術商などに転売しているようです。対になっているものの片方だけ盗んだ者もいました。盗難が多発したため、町おこしの一環で作ろうとしていた『道祖神マップ』の製作は中止しました。泥棒に悪用されそうですからね」(関さん)

 実は、こうした石仏の被害は中之条町だけの話ではない。埼玉県越生(おごせ)町では2006年に江戸時代末期の建立とされる高さ約1・6メートルの石仏が倒され、重さ約40キロの頭部がなくなった。07年には徳島県や岩手県でも石仏の盗難が続発した。

 石仏を研究している民間団体「日本石仏協会」の坂口和子会長は
 「石仏の盗難は全国的に増えています。中でも石仏が多い群馬県は窃盗犯のターゲットになりやすい。他の文化財のように、ちゃんとした管理者もいないため、盗まれても分からないこともあるそうです」
と表情を曇らせる。

 手口も悪質化している。各市町村では文化財の調査報告書を作成しているが、窃盗犯はその資料をもとに石仏を物色するのだという。石仏の相場は2万-3万円から、高いものでは10万円にも達するといい、
 「盗んだ石仏の写真を送りつけ、年代や価値を問い合わせてくる者もいる」
と坂口会長は語る。

 相次ぐ被害に、道祖神や石仏を管理する各自治体は巡回を強化したり、セメントで台座を固定する、防護柵を設置する-などの対策をとっているが、決定打はなかなか見つからない。坂口会長は
 「今は石仏受難の時代です」
と話している。



[ 2009年9月28日 (夕刊フジ)



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2009年10月09日 Posted byかるの at 09:16 │Comments(0)文化財保護

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