旧大島邸、保存求める声相次ぐ 校舎建設で説明会
明治期の歴史的建造物・旧大島邸の解体が論議を呼んでいる佐賀県唐津市の大志小の新校舎建設について、市は19日夜、周辺住民への説明会を開いた。耐震強化や校庭の拡大など教育環境改善のため、建設に理解を求める市に対し、参加者からは計画への疑問や、あらためて大島邸保存を訴える声が上がった。説明に納得できない一部住民グループは住民監査請求の準備を始めた。
唐津市民会館で開かれた説明会には約100人が参加。市は築50年以上が経過し老朽化した現校舎の耐震化の必要性や、校庭が現在より1・5倍に拡張する計画概要を説明。大島邸の取り扱いについては、解体した内装材を一部新校舎に移築し一般開放する一方、写真や図面で記録し「将来の復元に備えたい」と理解を求めた。
これに対し、これまで保存を訴えてきた住民らから「文化財としての価値をもう一度見直して」などの声や「新築ありきの計画ではなく、現校舎を耐震補強するなど財政負担の少ない方法を模索すべき」といった意見が出た。
住民グループ「大島邸を保存する会」(松下麗会長)は
「市の説明には納得できない」
として、建設予算の差し止めを求める住民監査請求に向け、1000人を目標に署名活動を開始。事務局の山崎久美子さん(57)=同市坊主町=は
「大島邸と校舎改築が共存できる道を探るべき」
と話す。
一方、市は5月から大島邸の樹木伐採や解体作業に着手、9月ごろから本工事に入り、2011年度完成を目指す。市教委は「すでに議会の承認を受け、必要な手続きは踏まえており、計画は予定通り進めたい」としている。
佐賀新聞