「朝鮮、台湾の巻き添え困る」=岸首相が安保拡大に反対
1960年の日米安全保障条約改定の際、条約の適用範囲を拡大する案に対し、当時の岸信介首相が朝鮮半島などでの戦争に巻き込まれる恐れがあるとして反対を表明していたことが、外務省が7日から公開した外交文書で分かった。
それによると、安保改定交渉中の58年10月、外務事務次官から状況説明を受けた岸氏は、
「日本として沖縄、小笠原、米国とともに渦中に投ぜられることは覚悟しなければならないが、朝鮮、台湾の巻き添えになることは困る」
と発言していた。
米側は当時、条約の適用範囲を太平洋地域に広げるべきだとしていたが、日本側には慎重論が強く、最終的には対象は「極東」に限定された。ただ、米側への配慮もあって政府は60年、極東の地理的な範囲を「フィリピン以北ならびに日本およびその周辺の地域で、韓国、台湾を含む」とする統一見解を出している。
[ 2010年7月8日[時事通信社]