現代人の祖先、別人類「デニソワ人」と交雑
現代人の祖先が、別の人類とされるデニソワ人と交雑していたことが、独マックス・プランク進化人類学研究所などの国際チームの研究でわかった。

現代人の祖先が、世界各地で先住の人類を絶滅させつつ広がったとする従来の説を、覆す可能性がある。23日付の科学誌ネイチャーに発表する。
シベリアのアルタイ山脈の遺跡で発見されたデニソワ人の骨を使い、細胞核のゲノム(全遺伝情報)の一部を解読した。世界各地の現代人のゲノムと比較したところ、オーストラリア北東の島々に住むメラネシア人は、ゲノムの4~6%がデニソワ人固有のものと一致していた。
研究チームによると、人類の祖先は40万~30万年前にアフリカを出て、ヨーロッパに移動した集団がネアンデルタール人に、アジアに広がった集団がデニソワ人になった。それに遅れて6万~5万年前にアフリカを出た現代人の祖先が先住者と交雑し、今に至ったらしい。欧州やアジアなどの現代人の祖先とネアンデルタール人との交雑を示す研究成果は、今年5月に発表されている。異なる人類どうしの交雑、共存が一般的だった可能性が出てきた。
[ 2010年12月23日 (読売新聞)