日露戦争の激戦地「旅順」世界遺産申請へ…大連市が方針
【瀋陽=牧野田亨】
日露戦争の激戦地だった中国・遼東半島南端の旅順地区について、管轄する大連市が地区全体の世界遺産登録を目指すことがわかった。
市政府筋が本紙に明らかにした。戦跡や日露の建築物など20世紀の“負の遺産”を後世に残すとともに、日本などからの観光客の誘致促進が狙い。ただ、旅順地区には中国海軍の施設が多く、軍の同意を得られるかどうかが実現のかぎとなりそうだ。
旅順地区は清の時代から軍港として発展。日清戦争(1894~95年)の戦地となった後、南下を目指す帝政ロシアに支配され、日露戦争(1904~05年)を経て日本が40年間にわたり実質統治した。
日露両軍が激突した203高地、露軍が大規模な 要塞 ( ようさい ) を築いた 東鶏冠山 ( とうけいかんざん ) 、旅順港などの戦跡に加え、帝政ロシア時代に建てられた旅順駅、「日本版の大英博物館」とも呼ばれる旅順博物館など、当時の日露の建築物が多い。
市当局は地区全体を世界遺産として登録するのが望ましいと判断。6日開会の市人民代表大会(市議会に相当)で提案される市政府活動報告に、登録を目指す方針が盛り込まれた模様だ。
[ 2009年1月5日(読売新聞)