<キトラ古墳>石室南壁、鎌倉時代の盗掘破壊部分を復元
復元されたキトラ古墳石室南壁の破壊部分。右奥の写真パネルの欠落した部分が盗掘坑=奈良県橿原市の奈良文化財研究所で2009年2月5日、三村政司撮影

奈良文化財研究所は5日、四神の朱雀が描かれていたキトラ古墳(奈良県明日香村、7世紀末~8世紀初め)の石室南壁について、鎌倉時代の盗掘で破壊された部分を復元したと発表した。盗掘の「生き証人」でもあり、非公開の石室の様子を具体的に知ることができる貴重な資料。3月31日まで同研究所藤原宮跡資料室(橿原市)で一般公開する。
復元部分は高さ約65センチ、幅25~40センチ、厚さ約50センチ。04年の発掘調査で石室内外から見つかった約200の破片のうち、保存状態が良く位置関係が確かな約30片を接合、不足部分を樹脂で補った。西壁との接合面を斜めに削るなど古代人の工夫も見て取れる。
松村恵司・都城発掘調査部長は
「盗掘者が石室の構造を理解し、効率的に穴を開けた様子や(盗掘坑の真横に描かれた)朱雀が残ったのは奇跡的だったことがよくわかる」
と話している。
同研究所(0744・24・1122)。【林由紀子】
[ 2009年2月6日 (毎日新聞)
[ 2009年2月5日