昔は普通に食べていた?日本人にとってのヘビを食べる文化とは?

 田舎のあぜ道や山道などに、突如、シュルリと現れるヘビ。どちらかというと「ヘビは苦手…」って人が多いのではないでしょうか。最近は、ペットとしてヘビを飼う人もいるようですが、やはり食べるとなると…ねぇ。我々日本人にとって、“ヘビ=食べるもの”という印象は非常に薄いような気がするのですが、実際どうなんでしょう?

 「確かに、現在の日本ではヘビを食べる習慣はほとんどありませんね。しかし、江戸時代のころは、日本でもマムシやシマヘビなどはよく食べられていたんですよ。当時の人々は、牛などを食べることはありませんでしたからね。ヘビは貴重なタンパク源のひとつとして重宝されていたんです。また、ヘビは食べられる動物のなかでも、比較的簡単に捕まえることができるものでしたから、特に山あいの地域ではわりと頻繁に食べられていたようです」

と、教えてくれたのは、ヘビ類の研究を行っている、財団法人日本蛇族学術研究所の所長・鳥羽通久さん。ちなみに、当時の人々はどのように調理して食べていたのですか?

 「江戸時代以前はヘビの肉も食べていましたが、明治時代に入り、肉食が盛んになってからは、乾燥させて粉末にしたり、マムシ酒を作ったりと、漢方薬としての利用がメインだったはずです。まぁ、なかには肉の代わりとして食べていた人もいるかもしれませんが、中国や台湾のように、スープや鍋などに入れて、食材のひとつとして食べることは少なかったと思います」

なるほど。中国や台湾では現在でも普通に食べられているのでしょうか? 

 「そうですね。中国や台湾、韓国などでは今でも食べられていますよ。なかでも、中国では食文化として根づいているように思います。中国の屋台などでは、様々な種類のヘビが普通に売られていますからね。胆のうと血はお酒に入れて、肉はスープや鍋、唐揚げなどにして食べるのが一般的です。また、日本でも陸上自衛隊では、サバイバル訓練の一環として、今でも食べていますよ。時々、うち(日本蛇族学術研究所)からもおすそ分けしますし」

ヘビのおすそ分けですか! ところで、気になるお味のほどは?

 「鶏肉に近い味ですよ。ヘビの肉には、旨味成分であるアミノ酸が豊富に含まれていますし、薬として用いられるくらいなので、栄養価も非常に高いんです。ただ、田んぼで農薬を使うようになったことで、ヘビのエサであるカエルが激減し、それにともなって日本人が食べていたマムシやシマヘビの数もかなり減ってしまったので、なかなか獲ることができず、今では高価で稀少な食材になってしまいました。また、今のような飽食の時代では、ヘビを食べなくとも、牛や豚、鶏などで動物性タンパク質は摂れますからね。需要もあまりないため、ヘビ料理が食べられるところは非常に少なくなってしまったと思います」

今後、ヘビの捕獲量はますます減り、今よりもうんと高価になってしまうらしい。そうなる前に、食べておきたい。鳥羽さんに、どこかに食べられるところはないのですか? と尋ねたところ、研究所に併設している『ジャパンスネークセンター』(群馬県太田市藪塚町)では、マムシのフルコースや姿焼きを食べることができるそう! ちなみに、そこには世界各国から様々なヘビが集結しているとのこと。ヘビを食べられるうえに、ヘビを知ることもできる。これは行ってみる価値アリかもしれません。



(R25編集部)



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2009年08月18日 Posted byかるの at 21:17 │Comments(0)民俗行事

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