<蘇民祭>岩手の奇祭、今年は静かに熱く
蘇民袋を奪い合う裸の男衆ら=岩手県奥州市の黒石寺本堂で2009年2月2日午前5時41分、岸本桂司撮影

裸の男衆が麻で作られた蘇民袋を奪い合い、無病息災などを願う岩手県奥州市の奇祭「黒石寺蘇民祭(こくせきじ・そみんさい)」が1日夜から2日明け方にかけて、同寺境内で繰り広げられた。
同祭りは隔年で「動」と「静」をテーマにしており、「動」がテーマだった08年の開催告知ポスターに男性の胸毛が写っていたことから、JR東日本が「セクハラ」として掲示を拒否し、一躍注目を浴びた。今年のテーマは「静」で、ポスターには雪が舞う同寺本堂の写真を採用した。取材陣は昨年より減ったものの、奥州市によると、今年も在京の民放キー局など23社の64人が詰め掛けた。
同祭りは、神に守られ疫病を退散させたという蘇民将来の逸話が基になっている。祭りのクライマックスである蘇民袋の争奪戦が始まったのは2日午前5時ごろ。氷点下の中、体から湯気を立ち上らせた下帯姿の男たちが「ジャッソウ、ジャッソウ」の掛け声を上げながら、蘇民袋と袋に入った小間木(こまぎ)と呼ばれる護符を求めて激しくもみ合った。【岸本桂司】
[ 2009年2月2日 (毎日新聞)