「道具の熱加工は欧州で始まる」の定説覆るかも
研究チームが実験で復元した石器。石を加熱して薄く割った(サイエンス誌提供)

【ワシントン=山田哲朗】7万2000年前に南アフリカに住んでいた人類が、石器を火で加工していたとする研究結果を、ケープタウン大などが、14日発表した。道具の熱処理は2万5000年前にヨーロッパで始まったとの説が有力だったが、人類はもっと早い段階から火を応用する技術を獲得していたことになる。
成果は、米科学誌サイエンスに掲載された。それによると、南アの発掘現場で、灰に埋もれた大きな石が見つかり、周辺に長さ数センチの小さな石器が散在していた。研究チームは、大きな石を加熱すると、薄く割れやすくなり、小石器と似た光沢のある薄片が作れることを実験で確かめたという。
薄片は、刃物として狩猟などに使っていたとみられる。研究チームは、この技術の伝承に、言語も用いたと推測している。
[ 2009年8月15日 (読売新聞)