<第二次大戦70年>「ポーランドに開戦責任」露TVに反発

 【ウィーン中尾卓司】
 ナチス・ドイツがポーランドに侵攻した第二次世界大戦開戦から9月1日で70年を迎える。

 開戦地の一つ、北部グダニスクでは同日、メルケル独首相やプーチン露首相らが出席して記念式典が開かれる。しかし、ポーランドでは「開戦のいきさつをめぐりロシアが歴史を歪曲(わいきょく)している」と反発が高まり、両国関係が悪化しかねない様相となっている。

 ロシア国営テレビは今月20日、開戦につながった独ソ不可侵条約の締結70年に合わせ、「秘密議定書の秘密」と題した特別ドキュメンタリー番組を放映。番組は、ポーランドとドイツが1934年に軍事協力などに関する秘密議定書を結び、ソ連に対抗しようとしていたと指摘した。

 これに対し、独ソに侵略されたポーランドでは「開戦の責任がポーランドにあるとの印象を与えるものだ」とメディアが一斉に批判を展開。ロシアでは6月にも同様の趣旨のテレビ番組が放映され、モスクワのポーランド大使館が「歴史の改ざんだ」と抗議したが、ロシア外務省は「テレビ局の番組内容にまで介入できない」と無視した経緯がある。

 ポーランドのトゥスク首相は25日、
 「他国のメディア報道にコメントする立場にない」
と語りながらも、
 「誰が被害者か明らかだ。過去の事実に背を向け未来の関係を築くことはできない」
と不快感をあらわにした。

 開戦直後の39年10月、ポーランド東部で2万人以上のポーランド人が行方不明となり、翌年、虐殺された「カチンの森事件」も両国間の大きな懸念だ。旧ソ連は90年になってソ連軍による虐殺だったと公式に認めた。しかしロシアは、ポーランド侵攻はナチスに対する防衛という立場から「戦争責任はない」との主張は変えていない。02年に大統領として訪れて以来、2度目の来訪となるプーチン首相が、どんな発言をするかも注目される。

 ◇ことば 独ソ不可侵条約

 1939年8月23日、ソ連とドイツがモスクワで結んだ相互不可侵条約。署名した両国外相の名前から「モロトフ・リッベントロップ協定」とも呼ばれる。条約に付随する秘密議定書では、東欧・バルトにおける独ソ両国の勢力範囲が線引きされた。ドイツは9月1日、ソ連は同17日にポーランドに侵攻し、東西から同国を分割占領した。条約は41年6月の独ソ開戦で破綻(はたん)した。


[毎日新聞8月29日



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2009年09月08日 Posted byかるの at 21:16 │Comments(0)戦記

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