イケメン武将 歴女呼び込め 安来
◇「山陰の麒麟児」山中鹿介 新イラスト
タペストリーに描かれ、JR安来駅に掲げられたイケメン・山中鹿介のイラスト

戦国大名・尼子氏の再興を目指した不屈の武将・山中鹿介(1545~1578)を歴史好きの若い女性らにアピールしようと、鹿介をイケメン風に描いたイラストを安来市と同市観光協会が作成した。美男子に生まれ変わった鹿介で、尼子氏の本拠地・月山富田城跡(安来市広瀬町)や城下町に全国の歴女たちを呼び寄せたい考えだ。(岸下紅子)
尼子氏の家臣だった鹿介は、毛利氏との戦いに敗れて滅亡した尼子氏の再興を目指し、1569年に京都に逃れていた尼子勝久を擁して、何度も毛利氏に戦いを挑んだ。「山陰の麒麟児(きりんじ)」との異名をもつ。
尼子再興のために困難に立ち向かう鹿介が「願わくば、我に七難八苦を与えたまえ」と三日月に祈ったという逸話が、戦前の国語の教科書に載っていたことから、年配者や地元ではヒーロー的存在だが、若い世代の知名度はいまひとつという。
一方、尼子氏の盛衰を記録した歴史書「雲陽軍実記」は、鹿介は色白で容姿が美しかったと紹介しており、歴史好きの女性「歴女」が増えているこの機会にPRしようと、同市などが鹿介の“イメージチェンジ”を計画。同市出身で兵庫県在住のイラストレーターに依頼し、荒々しい武人ではなく、男性アイドル歌手のように色白の端正な顔立ちで、すらりとしたスタイルの新たなイラストを作成した。
8月半ばにJR安来駅や市立歴史資料館など市内3か所にタペストリー(縦約2・3メートル、横約1・8メートル)を設置。地酒のラベルやTシャツなどにも使っている。
地元には、尼子氏の軍用金を鹿介が月山富田城の城下に埋めたという埋蔵金伝説があり、9~12月には、宝探しをしながら、城下町を歩くイベントも計画している。
安来市商工観光課の野々村貴史さん(41)は「東日本大震災後、鹿介のような不屈の生き方が注目されている。一難一苦なく、鹿介を広めていけたら」と話している。
イラスト使用などの問い合わせは同協会(0854・23・7667)へ。
(2012年8月31日 読売新聞)