太陽の船:発掘を開始…2隻目、早大・吉村名誉教授ら
【カイロ和田浩明】約4500年前の古代エジプトの大型木造船「太陽の船」の発掘作業が23日、カイロ近郊ギザのクフ王のピラミッド脇で始まった。早稲田大学の吉村作治名誉教授らが作業にあたり、今後4~5年かけて完全復元に取り組む。吉村名誉教授は
「ようやく実物が見られて感無量。革命後の国づくりに取り組むエジプトに少しでも貢献したい」
と語った。
「太陽の船」は、古代エジプト王が死後に太陽神となり天空を移動するために使用すると考えられていた。1隻目(全長約42メートル、杉製)は54年に発見、復元されてピラミッド脇の博物館に展示されている。今回発掘するのは2隻目で、87年に吉村名誉教授らがレーダーを使用して存在を確認していた。
発掘は資金難で一時中断したが、日本企業の援助で08年から早稲田大学古代エジプト調査隊などがエジプト政府と共同で発掘と復元に向けた準備を進めていた。
現場はクフ王のピラミッドの南側。船を覆う40枚の石のパネル(1枚の重量は平均約17トン)の最初の石が、日本の「玉がけ」技術でつり上げられ、褐色の木片が姿を見せた。約600片が埋蔵されていると見られる。
エジプトのザヒ・ハワス文化財担当国務相は
「復元船は日本の援助でピラミッド脇に建設される新博物館に展示したい」
と語った。
[ 2011年6月24日 (毎日新聞)