1300年ぶり出身地に納骨 古事記編纂の太安万侶 奈良
古事記編纂(へんさん)から今年で1300年となるのを記念し、編纂した太安万侶(おおのやすまろ)の出身地・奈良県田原本町の多(おお)神社は15日、安万侶の遺骨を分骨し、出身地の古墳に1300年ぶりに納骨すると発表した。
命日の7月6日に納骨し、追悼碑などを建てる計画。安万侶の末裔(まつえい)という多忠記(ただふみ)宮司(68)は「偉業が見直されるきっかけになれば」と話している。
安万侶は古事記を編纂した奈良時代の役人。現在の田原本町多地区を本拠とする豪族の子孫とされ、多宮司は安万侶の末裔にあたるという。
昭和54年に奈良市内で安万侶の墓が見つかり、遺骨は近くの寺で保管されていた。古事記編纂1300年を機に、多宮司が分骨を依頼し、遺骨の一部を譲り受けた。
多神社の東約1キロの近鉄橿原線近くの畑には、直径約8メートル、高さ1・5メートルの小山状の古墳があり、地元では安万侶の遺品を納めたとの伝承がある。
多宮司は、この古墳の周囲に石垣を整備し、安万侶の名を刻んだ追悼碑などを建てる計画。安万侶の命日に「納骨の儀」を営むという。
多宮司は「1300年ぶりに里帰りされ、太安万侶も喜ばれるはず」と話している。
(2012年4月15日- 産経新聞)