仏様の着ぐるみ?内部空洞、のぞき穴も…大阪の大念佛寺
内部が空洞で、人がかぶれるようになっている阿弥陀如来像(大阪市平野区の大念佛寺で)

大阪市平野区の大念佛寺( 倍巌良舜 ( ばいがんりょうしゅん ) 管長)の土蔵で、150年以上、安置されたままになっていた木造阿弥陀如来像の内部が空洞になっており、胸が「卍」字形にくりぬかれていることが市教委の調査でわかった。
仏像としては極めて珍しい構造といい、同寺の伝統行事「 万部 ( まんぶ ) おねり」で、僧侶がかぶるように身に着け、胸の穴をのぞき窓にして練り歩いたとみられる。
阿弥陀如来像は2003年8月、本堂裏の土蔵の奥で市教委職員が見つけ、調査が始まった。高さ1.8メートルで、台座を外すと底板がなく、高さ1.5メートルにある胸の穴から外が見えるようになっていた。
像の由緒や使い方は不明だったが、今回、構造や彫刻の技術から江戸前期の制作とわかり、江戸期に修理された跡も確認された。
万部おねりは、阿弥陀如来が 来迎 ( らいごう ) する様子を表現するため、25の 菩薩 ( ぼさつ ) の面をつけた僧侶らが本堂の周囲を歩く行事。市教委文化財保護課の鈴木慎一主任学芸員は
「江戸時代、阿弥陀如来像をかぶった人が行事の主役を務めたのではないか」
としている。
[ 2009年5月1日 (読売新聞)