坊所鍋島家資料から貴重な古写本『伊勢物語』が発見

 このたび、平安時代の歌物語である『伊勢物語』の内容を伝える唯一の伝存本に極めて近い本文をもつ古写本が、国文学研究資料館の調査チームにより、佐賀県立図書館所蔵の坊所鍋島家資料の中から見つかりました。
 新しく見つかったこの資料は、『伊勢物語』の古本系統の伝肖柏筆本(でんしょうはくひつぼん)を明らかにする貴重な古写本であり、古典籍の研究において非常に重要な発見となります。
 なお、この資料は、国文学研究資料館監修のもと、原寸カラーの複製本として刊行されています。

1 「伊勢物語 坊所鍋島家本」について

 「伊勢物語」の主人公は六歌仙の一人である在原業平(ありわらのなりひら)とされ、平安時代を代表する歌物語です。新しく発見されたこの古写本はこれまで唯一の古本であった伝肖柏筆本に類例を加えるものです。本文には朱書による句読点や四点の濁点が用いられ、国語史研究にも寄与するものと考えられます。
(注)伝肖柏筆本:肖柏という人物によって書かれたと言い伝えられている本

2 発見の経緯と今後について
 佐賀県立図書館所蔵の古典籍調査は、佐賀藩の文事・古典研究の第一人者である井上敏幸(いのうえとしゆき)氏(佐賀大学名誉教授)が提唱されました。これを受け、平成20年秋、井上氏をはじめ国文学研究資料館の調査チームによって行われた予備調査で発見されました。
 なお、この予備調査の折、さらに多くの稀覯本(きこうぼん)の存在も指摘されており、今後、引き続き、調査が行われる予定です。

3 刊行された書籍「伊勢物語 坊所鍋島家本」について

・書名:伊勢物語 坊所鍋島家本(ぼうじょなべしまけぼん)
・監修:国文学研究資料館(解説:田村 隆氏)
・発行所:勉誠出版 株式会社
・刊行日:平成21年8月
・定価:15,750円(本体15,000円)
・サイズ・頁数:四六倍判変形 170頁


[ 2009年9月9日 (News2u.net)



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2009年09月26日 Posted byかるの at 09:17 │Comments(0)歴史史料

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