太宰治:「げた抱きしめ奥さん放心」入水自殺で元隣人証言

 19日は今なお根強い人気を誇る作家、太宰治(本名・津島修治)の命日「桜桃(おうとう)忌」。太宰は1948年6月、東京都三鷹市の自宅近くを流れる玉川上水で寡婦の山崎富栄と共に入水し、39年間の生涯を閉じた。当時、太宰宅そばに下宿していた医師の雨宮寛彦さん(81)=調布市=は、土手に並んだ2足のげたを最初に発見したという。「奥さんはしゃがみ込んで、太宰さんのげたをずっと抱きかかえていました」。64年の時を経て、雨宮さんは入水直後の様子を初めて証言した。

 雨宮さんは47年4月、山梨県から上京し医科大学に入学。太宰宅の近所で、いとこと下宿を始めた。太宰の妻美知子とは同郷とあって親しくなり、娘たちの家庭教師も務めたという。

 「主人の体調が悪いので、お米を少し貸して」。終戦直後の食糧難の時代、美知子は雨宮さんに分けてもらった山梨の米で、かゆを作っていた。「いつも黒い鼻緒のげたを履き、茶色っぽい帽子を深めにかぶって前かがみに歩いていた」という太宰は、近所の飲み屋で行き会うと、「学生さん、こないだはお米ごちそうさま」とあいさつした。


(最終更新 06月19日 毎日新聞)



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2012年06月26日 Posted byかるの at 14:17 │Comments(0)人物伝

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