ファミコンよりも昔…世界初のテレビゲームってどんなもの?
1983年の「ファミリーコンピュータ」発売から四半世紀(以上)。
当時のゲームといえば、ドット絵のチープなグラフィックと、3和音しか出せない電子音の、今から思うとずいぶんシンプルなものでした。
では、それよりもっと前、世界で初めて誕生したテレビゲームって、いったいどんなゲームだったんでしょ? ゲーム誕生の歴史に詳しい、『週刊ファミ通』編集部の小山太輔さんに聞きました。
「コンピューターでプログラムを動かし、ほかの画面に何かを表示して動かすという意味では、1949年ごろに『バウンシングボール』という、ボールが落ちる様子をリアルタイムで描画するプログラムがあったという記録があります。しかしこれはゲームというよりリアルタイムシミュレータでした」
1949年! 実に60年前にまでさかのぼるんですね。
「ゲーム性のあるものとしては、1952年にケンブリッジ大学のEDSACというコンピューターを利用し、『TIC TAC TOE』(ティックタックトゥー)というゲームが作られました。これは現在あるようなモニターではなく、体育館の得点板のような、ドットの集まった表示機を使って遊んでいました。これが画面の記録が残っているなかで、現在知られている最古のゲームです。内容は○と×を3つ並べた方が勝ちという、いわゆるマルバツゲームですね」
初期のゲームは、コンピューターを使っていた研究者が仕事の手慰みに、遊びで作ったようなものが多く、年月を経てから「実は…」と新たに発見、発掘されることが多いそう。当時のコンピューターは壁面いっぱいもあるような巨大なもの。そんな大きなコンピューターを“遊び”で使ってみようという研究者の好奇心は、すごいものがありますね。
「現在のテレビゲーム産業の基礎を作ったという意味では、1972年に発売された、『PONG(ポン)』という、家庭でなく外の店で遊ぶアーケードゲームが大きな役割を果たしました。テレビゲームがビジネスとして成功した、世界で初めてのゲーム機で、開発者のノーラン・ブッシュネルはその前後にアタリという会社を作り、アタリは全米にその名を轟かすゲームメーカーになります」
その後、日本にテレビゲームが初めてやってきたのは1973年。当時ジュークボックスなどの輸入販売をしていたセガとタイトーから、『ポントロン』と『エレポン』という外で遊ぶアーケードゲームが販売されました。ゲームが日本の家庭に入りこんだのは、1975年にエポック社から発売された『テレビテニス』(内容は『PONG』と一緒)。黒と白しか表現できない原始的なテニスゲームでしたが、当時の人々は熱狂したのだといいます。
さらに1977年には任天堂から何種類ものゲームが遊べる家庭用ゲーム機器、『テレビゲーム6』、『テレビゲーム15』が発売されるなど、徐々に “テレビゲーム”という遊びが世間に知られるようになっていき、1978年には日本中で大ブームを呼んだアーケードゲーム『スペースインベーダー』がタイトーから発売されます。
ようやく僕らにもおなじみのゲーム会社の名前が出てきました。
こうしてみると、一口に“テレビゲーム”といっても半世紀以上の壮大な歴史があるものなんですねえ。
(R25編集部)
(R25 - 07月14日 11:05)