「裸眼」にこだわり 任天堂3DS投入は3度目の正直だった


 斬新なスタイルが、逆に敗因となったバーチャルボーイ(写真提供 産経新聞社)
「裸眼」にこだわり 任天堂3DS投入は3度目の正直だった
 映画やテレビの世界で3Dがブームになるなか、満を持して発表された任天堂の新型携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」。裸眼で3D映像を楽しめる画期的なシステムは、早くも「大ヒット間違いなし」(専門誌ライター)とゲーム業界の話題をさらっている。ブームに乗って登場したかに見える3DSだが、実は同社は過去に2度も3D戦略で大コケした苦い経験を持つ。関係者は「過去の失敗を踏まえて成功に結びつけたのだろう」と指摘している。

 

 3DSは来春までに発売される予定。外見は従来のDSとほぼ同じだが、3Dの飛び出すゲームが裸眼のまま楽しめ、強弱を調整できるスイッチが側面に付いている。

 テレビゲームの歴史を作ってきた任天堂ならではの画期的なシステムだが、実は同社の3D戦略はファミコン時代から存在していたのだという。

 ゲーム評論家の府元晶氏は
 「初期の3D作品で思い出すのは、スクウェア(現スクウェア・エニックス)の『とびだせ大作戦』(1987年)。簡易的な3Dメガネをかけてプレーした。高度な技術を用いた3Dメガネをかけて対応ソフトで遊ぶ『ファミリーコンピュータ3Dシステム』も同年に出たが、ソフト1本分ぐらいの価格で、それだけの金額を周辺機器に払うユーザーは少なかった」
と語る。

 その後も任天堂の3Dへの挑戦は続く。95年7月にはファミコンや「ゲームボーイ」の開発に携わった伝説のゲームクリエーター、故・横井軍平氏が、特殊メガネをかけなくても3Dゲームが楽しめる「バーチャルボーイ」を開発、1万5000円で発売された。

 スコープ型の本体に顔を密着させ、のぞき込むようにプレーする。画面は赤の単色だったが、別売りのカセットを入れてマリオを動かし、立体的にテニスなどが楽しめた。発売当初、任天堂は年間300万台の出荷を見込んだが、フタを開けてみれば全然売れず、翌年には製造を事実上停止した。

 府元氏は
 「当時はプレイステーションとセガサターンがシェア争いをしていた。両機ともグラフィック性能を競い合っており、色が赤のみのバーチャルボーイは見栄えがしなかった。発売時期が悪かった」
と振り返る。しかも、当時のゲームは友達同士でワイワイやるのが定番だった。
 「プレー状況がほかの人に見えないのも、ユーザーに受け入れられなかった」
と府元氏は言う。

 「3DSは(バーチャルボーイの)失敗を踏まえて、裸眼にこだわった感じがする。私はメガネをかけているが、メガネの上に3Dメガネをかけると焦点が合いづらくて疲れる。裸眼3Dは期待できそうだ」(府元氏)。
20年以上に及ぶ任天堂の挑戦は、ついに実を結びそうだ。



[ 2010年6月25日 (夕刊フジ)



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2010年07月12日 Posted byかるの at 21:17 │Comments(2)産業史

この記事へのコメント
うわっ、なっつかすぃ~~~\(^o^)/
バーチャルボーイだ!!
当時、あこがれてあこがれて・・・
でも、買いません(買えません)でした。

今度はどうかな?

期待大です(^^)
Posted by こうじや at 2010年07月12日 22:02
 こうじや様

 コメントありがとうございます。
 バーチャルボーイの時は全寮制の学校に行っていたのでこの記事を挙げるまで存在を知りませんでした…。
 とびだせ大作戦!に反応してしまいました。
Posted by かるのかるの at 2010年07月19日 22:50
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