国内唯一の石油坑道掘り「桂沢坑道」跡、閉鎖へ
現在、坑道には水がたまり、奥には入れない(5月撮影)

新潟県長岡市桂町の山腹に掘られた坑道で石油を採取した、国内唯一の石油坑道掘り「桂沢坑道」跡が、坑道を含む東山油田の閉山処理に伴い、今月中にもコンクリートで閉鎖される。
1937年に始まった日中戦争を機に日本が国際社会で孤立し、輸入が難しくなった石油を増産するため、坑道は国策で造られた。当時を知る関係者からは「戦時の石油事情を示す貴重な存在」と惜しむ声も上がっている。
桂沢坑道は高さ約2メートル、幅約3メートル。主坑と副坑が並行に延び、油層までは傾斜をつけ、そこからはほぼ水平に網の目に延びて、総延長は10キロを超えた。天井やボーリング孔からしみ出た石油や水は、坑道の中央下部を走る中溝に集まり、川のように集油所まで流れる仕組みだった。
[ 2010年8月17日 (読売新聞)