三州瓦:「だるま窯」20年ぶり稼働へ 愛知・高浜で修復
イベントで約20年ぶりに稼働される「だるま窯」=愛知県高浜市の丸栄製瓦で、安間教雄撮影

日本一の瓦産地・愛知県高浜市で、全国でもわずかしか残っていない瓦焼き用「だるま窯」が修復され、12月、約20年ぶりに稼働する。300年以上続く三州瓦の原点を伝えようと、瓦業者らが古式製法を再現する。だるま窯を保存している全国5カ所が集うサミットも開かれる。
同市かわら美術館で来年1月10日まで行われている同市制40周年記念の三州瓦特別展に合わせたイベント。瓦業者や市民ら35人が実行委員会を結成し、同市田戸町の「丸栄製瓦」に残っていた1基を修復した。
だるま窯は、れんがや瓦を積み上げ、壁土を塗った造りで、桃山時代から使われたという。下部がだるまの腹に似ており、その名で呼ばれるとされる。現在、群馬県の藤岡市と甘楽町、兵庫県南あわじ市、愛媛県今治市などに残っている。
高浜市で修復された窯は大正時代から約70年間使用されたが、平成になり煙害などからガス窯に取って代わられた。明治末期の窯に近い姿をとどめているとして、98年に市有形民俗文化財、07年には経済産業省の近代化産業遺産に指定された。
復活させただるま窯では、鬼瓦や平瓦など約600点を焼く。火入れ式は12月11日、窯出しは同18日。実行委員長の鈴木幸利さんは
「三州瓦作りの歴史や文化、先人の苦労や心意気を伝えたい。瓦産業を見つめ直すためにも毎年開きたい」
と話している。【安間教雄】
[ 2010年11月22日 (毎日新聞)