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能:幻の面「ヲモカゲ」で舞 室町時代の重文…京都
門外不出で「幻の面(おもて)」と言われていた約500年前の重要文化財の能面「ヲモカゲ」をかけて、能楽シテ方金剛流二十六世宗家、金剛永謹(ひさのり)さん(59)が10日、金剛能楽堂(京都市上京区)で能を舞った。室町時代の重文の能面が実際に使われたのは、ほとんど例がないという。
この面は金剛流に伝わる「孫次郎」という若い女性の面。作者は孫次郎(金剛右京久次、1537~1564)で、若くして死んだ妻への思いをこめて彫ったと伝えられ、特に「ヲモカゲ」という銘が付いている。清そで上品な美しさが漂う名品。二十三世宗家、金剛右京(1872~1936)から三井家に渡り、その後、三井記念美術館(東京都中央区)に収蔵。同館の5周年記念事業として所蔵能面の映像を制作する撮影がこの日、行われた。
永謹さんが能「熊野(ゆや)」の中ノ舞を華麗に披露。500年前の「ヲモカゲ」がよみがえった。永謹さんは「最高の喜びです。思いが深い面ですね」と感激。同館では「宗家が『ヲモカゲ』をかけて舞う姿を残すのは文化史的意義がある」としている。11月23日から同館で展覧会「三井家伝来 能面と能装束」が開催され、映像も会場で流される。【宮辻政夫】
[ 2011年5月10日 (毎日新聞)